Frailty
フレイル
フレイル
フレイルとは
フレイルとは、加齢によって心身の活力が低下した状態を言います。
筋力、認知機能、社会とのつながりなどが低下。虚弱と言われるが、健康な状態と介護が必要な状態の中間地点にある状態を言う。
身体的要素(筋力低下など)、精神的・心理的要素(認知症、うつなど)、社会的要素(閉じこもり、孤立など社会的つながりの低下)の要素が相互に関係しているため、総合的な対応が大切です。
※プレフレイル:フレイルの前段階でフレイルの診断基準(下記記載)に1~2個該当する状態
フレイルの特徴
フレイルは介護が必要になる前の段階とお伝えしましたが、フレイルの兆候が見られる方には以下のような特徴が見られます。
- 同世代の同性と比べて健康な食事に気を使っていない
- 野菜料理と主菜(肉や魚)を食べるのは1日1回以下
- さきいかやたくあん程度の固さの食品が噛み切れない
- お茶や汁物でむせることがある
- 定期的な運動習慣が無い
- 日常生活で1日1時間以上歩いたり同等の身体活動をしていない
- 同世代の同性と比べて歩く速度は普通かゆっくりな程度
- 昨年と比べて外出の回数が減っている
- 毎日一人で食事をしている
- 自分に活気があると感じない
- 何よりもまず、物忘れが気になる
(東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」を基に作成)
1つでも当てはまる場合はフレイルの兆候が見られるため、要注意です。
フレイル・サイクル
フレイル・サイクルとは、筋力や筋肉量が減ると活動量が減る。活動量が減るとエネルギー消費量が減り、食欲が湧かなくなる。食欲が湧かなくなると、食事量が減り栄養が不足する。栄養が不足すると、体重が減少しさらに筋力や筋肉量が減る。というフレイルの悪循環に陥ることを言います。
フレイルになると、この悪循環に陥りやすくなり介護が必要になる可能性が高くなります。
フレイルの診断
統一された診断基準はありませんが、以下の5つの項目が国内でよく使用される評価基準です。
項目 | 評価基準 |
---|---|
体重減少 | 6か月で2~3㎏以上、体重が減った |
筋力低下 | 握力が 男性:26㎏未満 女性:18㎏未満 |
歩行速度 | 通常歩行速度が1.0m/秒 |
疲労感 | (最近2週間) 理由もなく疲れたような感じがするなど |
身体活動 | 軽い運動・体操をしていない 定期的な運動・スポーツをしていない ※いずれも該当する場合を1項目とする |
評価基準のうち、いずれも該当しない場合には健常、1~2項目該当する場合にはプレフレイル、3項目以上該当する場合にはフレイルとされます。
オーラルフレイル
フレイルと関係が深いとされている要因に、かむ力や飲み込む力、話をするための口を動かす力といった口腔機能の衰えがあります。
これらの口腔機能の衰えをオーラルフレイルと呼びます。
オーラルフレイルの特徴として、
- 食べこぼしが多い
- むせやすい
- 固いものが噛みにくい
- 活舌が悪くなる
- 口の中が渇きやすくなる
といった症状が見られます。
オーラルフレイルは、食欲の低下を招いて結果として、栄養不足や筋肉量の低下につながるだけでなく、社会的つながりの低下を引き起こすこともあります。
オーラルフレイルを予防するには、口の中を清潔に保つことや健康な口腔機能の維持や改善をすることが大切です。
フレイルになるとどうなるの?
フレイルになると、フレイルの特徴や診断で挙げた症状がみられるだけでなく、風邪をひいたときに重症化しやすくなったり、つまづいたり転倒した際に骨折しやすくなるなど健康な状態であれば数日で回復するような病気やケガが治りにくくなることがあります。
フレイルの予防・治療
フレイルの予防や治療は、筋肉量と栄養状態を改善することが大切なポイントです。
筋肉を作るのに大切な栄養をしっかりと摂取して、継続的に運動をすることで筋肉量が増え疲れにくい体を作ることを目指します。筋肉量が増えると日常生活で消費されるエネルギー量が増えるので、食欲が湧いてくるという良い循環につながります。
ただし、過度な強度の運動を行うと筋肉や関節、骨などを痛めてしまい、運動ができない状態になることもあります。適度な強度の運動を継続しながら、その時の体の状態に見合った運動をすることも大切です。
当院では、自宅で簡単にできる運動の相談や管理栄養士による栄養指導も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
生活で気を付けたいこと
フレイルはいかに早く予防に取り組むかが大切です。
フレイルの兆候が見られる場合には、フレイル・サイクルに陥ってしまい、介護が必要な状態への進行が早まります。
気になる兆候が見られる場合には、早めに医療機関に相談するようにしましょう。