虫垂炎とは
虫垂とは右下腹部にある盲腸から出ている細長い器官です。
その虫垂に炎症が起きている状態が虫垂炎と呼ばれています。
昔は盲腸が炎症を起こしたものと考え、「盲腸炎」と言われていました。
その為、現在でも「盲腸炎」と言う人もいますが、正しくは「虫垂炎」といいます。
開腹手術をした時に既に虫垂が化膿や壊死を起こして盲腸に張り付いて、あたかも盲腸の疾患のように見える事があった為です。
虫垂炎の原因
固まった便(虫垂糞石)や異物が虫垂に詰まって虫垂炎を引き起こすこともあります。
多くの原因は、虫垂の壁にあるリンパ組織がウイルス感染ではれたり、硬い便が虫垂の内腔を閉塞したりして、閉塞部より末梢の虫垂が腫れ、虫垂の壁が損傷して細菌が入り、感染を起こすと考えられます。
虫垂炎の原因は、不明な場合が多いですが、暴飲暴食、過労、風邪などでなることが多いと言われています。
虫垂炎の症状
虫垂炎初期には、みぞおち付近に痛みが出て、軽い発熱を出す方もおられます。
時間の経過とともに右下腹部へと痛みが移動していき吐き気やおう吐を伴います。
急性腸炎などの場合は吐き気、おう吐につづいて腹痛が見られることが多いようです。
また、小児の虫垂炎は一般的に2歳ごろから見られます。
生後4ヶ月~2歳位の小児が突然のお腹の痛みに小児が泣き出すことがあります。
お腹の痛みが数分おきに起きて、小児が泣き出し小児がぐったりとしたら要注意です。
血便の症状も見られた場合は、腸重積症も考えられます。
腸重積症は非常に危険な病気であるため、早期発見・早期治療が非常に大切です。
(腸重積は、腸の一部が腸の中にはいりこんで、二重や三重になってしまう病気のことを
腸重積症といいます。
最悪の場合は死亡することもあります。24時間以内に高圧浣腸といわれる治療法で治療が可能です。
症状がひどい場合は手術が必要となります。)
虫垂炎の治療
炎症が軽度であれば抗菌薬の投与により完治する場合があります。
一般的には手術の方が確実で早い治療法ですが、炎症の度合いと手術のリスクを天秤にかけ、
それに患者さん本人の希望を入れて決定されます。
一般的に手術を考慮するポイントは下記です。
- 症状が強い場合
穿孔が疑われる場合には原則として手術となります。 - 炎症所見が強い場合
上記同様、穿孔のおそれがある場合も原則として手術になります。 - 糞石がある場合
糞石を取り除かないと症状改善が期待できない場合。 - 幼児
進行が急速で穿孔しやすく、また重症度の判断が難しいため。 - 妊婦
重症度の判断が難しく、また万が一穿孔した場合に胎児への悪影響が懸念されるため。