頭痛・偏頭痛

頭痛は立派な病気です

頭痛が起こる原因は、おおまかに言うと「神経からくる頭痛」・「血管からくる頭痛」・「筋肉からくる頭痛」と
3つの原因からくる頭痛に分けられます。

でも原因を純粋に神経・血管・筋肉と区別できないことも少なくはなく、これら全てが関係して慢性頭痛を
起している場合もよくみられます。

慢性頭痛の方は、日本人のおよそ4割の人たちがかかっている病気と言われています。
皆さん、ご存知ですか?1年間に頭痛にかかる日本全国の医療費は何と約3000億円です。
もう頭痛は立派な病気と見なすべきでしょう。

頭痛の原因

  • 神経からくる頭痛
    神経が刺激されて起こる、いわゆる神経痛があります。
    顔が痛くなる三叉神経痛、後頭部にズキーンと響く後頭神経痛などが主な頭痛と関連する神経痛です。

    三叉神経痛の主な原因は、神経のそばの動脈が神経に当たり動脈の拍動が神経に伝わる事により
    「刺す」ような痛みが何回も起こります。


    後頭神経は第2第3頚椎の間から出ており、その部分の骨や靱帯が変形、肥厚することで神経を
    締め付けるようになると、後頭神経痛が起こります。
    これは首を動かすと後頭部や耳介部にびりっと刺すような痛みが起こるものです。


  • 血管からくる頭痛
    主に頭皮の動脈ですが、血管の壁には痛みを感じる神経が豊富に存在します。
    これが度を越して拡張すると、ズキンズキンという、血管性頭痛に特有の拍動性の痛みになります。

    体内のセロトニンという神経伝達物質(ホルモンの一種)が血管の収縮・拡張の働きをします。
    このセロトニンは脳内や血小板、腸壁などに多く含まれ、普段はそれほど多く血液内に存在しませんが、
    何かの刺激で血小板などから急激に多量に放出されることがあります。
    これは強力な血管収縮作用をもつので、脳の血管は一時縮んで脳の血の巡りが悪くなります。
    この時にキラキラと光が見えたりする、前兆とよばれる現象がおこります。


    しかしセロトニンはすぐ分解され尿に出てしまいますので、今度はセロトニンが少ない状態となります。
    すると今まで収縮していた血管は反動で急激に拡張し、拍動が血管壁から痛みの神経を介して頭痛として
    伝わるとされています。
    よってセロトニンを適度に増やせば、片頭痛は抑えられる訳です。


  • 筋肉からくる頭痛
    通常、運動時には活発に収縮弛緩を繰り返し、筋肉内の血管を揉む感じで血の巡りを良くしています。
    ところが、じっと同じ姿勢で筋肉をこわばらせておくと、血の巡りが悪くなり筋肉が酸素不足となって
    痛みを起す乳酸その他がたまってきます。

    また硬くなった筋肉をむりに動かすと筋線維に裂け目が生じ、そこが硬くなって痛みの原因となります。
    これを筋硬結といいます。
    この部分は非常に敏感で、少し押しただけで飛び上がるほど痛いこともあります。
    またこの筋硬結部に出来た圧痛点を押すと、離れたところが痛くなります。
    これを関連痛といいます。


    このように圧痛点と関連痛を伴う場合、筋筋膜痛症候群といい、筋肉由来の慢性の痛みで体のどこにでも
    起こります。
    頭痛の場合は頚部にある筋肉が筋筋膜痛を起すため、関連痛として頭が痛くなるのです。


頭痛の種類と分類

  • 症候性頭痛
    脳腫瘍とかクモ膜下出血あるいは慢性硬膜下血腫という、原因がはっきりしている頭痛の事です。
  • 機能性頭痛
    CT・MRI検査等ではっきりとした異常が認められない頭痛の事です。(ほとんどの慢性頭痛はこのタイプ。)
    • 血管性頭痛~頭皮の血管(動脈)の拡張が原因
      片頭痛や群発頭痛などがそうです。
      片頭痛は、月に1~2回、周期的にコメカミや眼を中心におこる拍動性(ズキンズキン・ガンガン)の
      強い頭痛が特徴です。
      30才前後の女性が最も多く、慢性頭痛全体の約4分の1を占めます。
      もっと頻度の多い人もいて、多くは吐気を伴い吐いてしまいます。

      一旦頭痛が始まると、光や音がものすごくわずらわしく、頭を動かすたびにガンガン響いて、
      静かなところでじっと寝ているしかない状態になる方もいらっしゃいます。
      大体は一晩寝ると楽になりますが、中には2~3日具合の悪さが続く人もいます。


      また2割程度の人は前兆として、頭痛がおこる20分程前から、目の前に光るギザギザが現れ段々と
      広がったり、人物が異常に大きく見えたりゆがんだりします。
      また風景が流れたりする見え方の異常を感じる方もいらっしゃいます。


      群発頭痛は、30才前後の男性によく見られる頭痛です。
      季節の変わり目に年1~2回、1~2ヶ月の間毎日、きまって片方の眼の奥がえぐられるようで、
      絞り切られるような、と表現される激痛が数時間起こります。


      大体は寝入って1~2時間してひどい痛みで眼がさめるという状態で、片頭痛とは違いじっとしていられず、
      頭を壁にガンガン打ち付ける人もいるくらいです。
      頭痛と同時に眼が充血し涙が出たり、鼻がつまって鼻水がでたりという症状もあります。


    • 緊張型頭痛(肩こり頭痛)
      痛みの程度はそれ程ひどくないのすが、何となく重苦しいという状態から後頭部にビリッと痛みが走る
      状態まで様々な程度があります。

      多くは肩こりが見られ、苦しいので何となく後ろ頭に手が行ってしまうのがこのタイプです。
      肩こりは精神的ストレスの現われとも考えられ、頻度的には最も多く、慢性頭痛の6~7割を占めます。
      肩こりは筋肉の血の巡りが悪くなり、乳酸などの疲労物質がたまって痛みを引き起こしますので、
      温めて動かすのが治療の基本です。


頭痛の治療法と予防法

  • 片頭痛の場合
    • 治療法として、消炎鎮痛剤やトリプタンを飲む、こめかみを冷やす、安静にする。
    • 予防法として、薬を内服する、規則正しい生活をする。
  • 群発頭痛の場合
    • 治療法として、純酸素吸入、注射薬(スマトリプタン)、各種神経ブロック等
    • 予防法として、漢方薬(呉茱萸湯)、塩酸ロメリジン(ミグシス)やSSRIがやや有効とされています。
  • 緊張型頭痛の場合
    • 治療法として、筋肉をほぐす、リラックスできる方法を実践、安定剤・鎮痛剤の服用、後頭部や目を温める。
    • 予防法として、体操や気分転換などを心がける。
  • 特殊な頭痛の場合
    • 良性労作時頭痛
      スポーツに伴っておこる突発性・拍動性の頭痛。水泳中などに多いようです。
      緊張型と血管性の混合型であることが多いようです。
      ウォーミングアップを十分行うことで防げます。
    • 後頭神経痛
      緊張型頭痛と区別が難しいのですが、片方あるいは両方の後頭部から耳にかけて、頭を動かすと
      ズキンと鋭い短時間の痛みが走ります。
      頑固な後頭神経痛の場合は、後頭神経ブロックや高周波熱凝固法で治療します。
      手術が必要な場合もあります。
    • 剤誘発性頭痛(慢性連日性)
      片頭痛薬のカフェルゴットやクリアミンなど、あるいはカフェインを含む市販の鎮痛薬などを毎日多量に
      内服することで、かえって頭痛が起こってしまうものをいいます。

      薬剤誘発性頭痛は慢性連日性頭痛となり、一度この悪循環がおこればなかなか治療も難しくなります。
      そうならないためには頭痛薬は1ヶ月に10錠程度を限度にするのがよいと言われています。
    • 気分の落ち込みに伴う頭痛
      抑うつ状態の1つの身体症状と考えられます。
      悲嘆感や憂うつ気分などより身体の症状を訴える場合を仮面うつ病といいますが、そこまでいかなくても、
      気分がふさぐと何となく頭が重いものですよね。
      こんな時は前屈みで猫背の姿勢になっており、十分深呼吸が出来ないために、ため息も多くなります。
      軽い抗うつ剤であるSSRIなどやスルピリドなどの薬と、眠れないことが多いので、入眠導入剤などを
      処方することが多い病気です。
      完全主義で生真面目な人に多いので、ゆっくり休める環境作りが大事になります。
    • 小児の頭痛
      学校がいやでずる休みの口実、と考えられやすいのですが、最近小児にも慢性頭痛が多くなっています。
      やはりストレスや身長がのびて筋肉が弱いため、首が凝りやすい、あるいはTVゲームに夢中になり、
      肩こりが慢性化する、運動不足で疲れやすい、など以前は考えられなかった環境の変化が原因のようです。また片頭痛も小児には多く、大人と違う点はまだ脳が未発達のため、脳波に異常をしめす片頭痛の子が
      多いという点です。
      従ってある種のけいれん止めが小児の頭痛にはファーストチョイスになります。
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院長
堅田 真司
診療内容
総合内科・小児科・胃腸内科
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