慢性下痢症
慢性下痢とは
慢性下痢とは、下痢症状が数週間以上持続する状態を指します。
水様便や軟便が続くことで、日常生活に支障をきたしたり、不安を感じる方も少なくありません。
原因は一つとは限らず、腸の機能的な問題から炎症性疾患まで幅広く存在します。
また、検査を行っても明確な原因が特定できない場合もあります。
考えられる主な原因
慢性下痢の原因として、以下のような病態が考えられます。
・過敏性腸症候群(IBS)
腸に明らかな炎症や器質的異常がないにもかかわらず、下痢や腹痛を繰り返す機能性疾患です。
・潰瘍性大腸炎
若年者にもみられることがある慢性炎症性腸疾患で、血便や腹痛を伴うことがあります。
・腸炎後過敏性腸症候群(感染後IBS)
急性腸炎の回復後に、下痢や腹部不快感が長引くタイプで、比較的よくみられます。
・原因がはっきりしない慢性下痢
検査上大きな異常が認められず、体質や生活習慣、腸内環境などが関与していると考えられる場合もあります。
当院で行う診断の流れ
症状や経過を丁寧に把握したうえで、必要に応じて以下の検査を組み合わせて評価します。
・問診(症状の経過,生活習慣,ストレス状況など)
・血液検査
・腹部レントゲン検査
・腹部超音波(エコー)検査
若年の方や症状の経過によっては、炎症性腸疾患と機能性疾患の鑑別を意識して評価を行います。
さらに必要と判断した場合には、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行い、腸粘膜の状態を直接観察します。
治療について
治療は、消化管疾患診療ガイドラインの考え方に沿って、症状や背景に応じて段階的に行います。
主に以下のような治療を組み合わせます。
・整腸剤を基本とした腸内環境の調整
・腸管運動調整薬
・漢方薬
・症状や状況に応じて、抗不安薬・精神安定薬を慎重に使用することもあります
一律の治療ではなく、症状の強さ・生活への影響・患者さんのご希望を踏まえて調整していきます。
最後に
慢性下痢は、命に関わる疾患が隠れていないかの確認と同時に、日常生活の質(QOL)を改善する視点が重要です。
疾患名が付かなかったとしても、症状の改善を目的とする場合もあります。
当院では、ガイドラインを基本としながら、患者さん一人ひとりの状況に合わせた診療を心がけています。
気になる症状が続く場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

