百日咳とは
百日咳は、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性の呼吸器感染症です。
世界的に存在している感染症で予防接種を受けていない人々の間で、地域的な流行が3~5年毎に
起きています。
現在では、百日咳ワクチンを含むDTaP三種混合ワクチン接種(ジフテリア、百日咳、破傷風)が行われており、
その普及とともに百日咳の患者は激減しています。
残念ながら母親からの免疫が起きないと言われているので、感染者の6割程度は5歳未満で2歳未満の子供の
場合は重症化しやすく、6ヶ月未満の小児の死亡率が高い怖い病気です。
百日咳の原因
グラム陰性桿菌の百日咳菌・パラ百日咳菌という2つの菌の飛沫が原因により感染します。
割合としてはグラム陰性桿菌である百日咳菌が原因であることのほうが多いと言われています。
何らかの理由でワクチンを受けていない人での発病により流行することがあります。
発生数は減少していますが、ここ数年発生数が急激に増加しているのが百日咳です。
百日咳の症状
百日咳の潜伏期間が1~2週ほどあり、その後に症状があらわれます。
百日咳の臨床経過は3期に分けられます。
- カタル期(約2週間持続)
- 通常2週間程度(最大3週間)の潜伏期を経て,普通のかぜ様症状で始まり、次第に咳の回数が増えて咳の程度も激しくなります。
- 痙咳期(約2~3週間持続)
- 次第に特徴ある発作性痙攣性の咳(痙咳)となります。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューヒューという音が出ます(ウープ)。
この様な咳嗽発作がくり返すことをレプリーゼと呼びます。
咳がひどい場合、嘔吐を伴います。
- 次第に特徴ある発作性痙攣性の咳(痙咳)となります。これは短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸う時に笛の音のようなヒューヒューという音が出ます(ウープ)。
- 回復期(2、3週~)
- 激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなりますが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出ます。
およそ全経過約2~3カ月で回復します。
- 激しい発作は次第に減衰し、2~3週間で認められなくなりますが、その後も時折忘れた頃に発作性の咳が出ます。
百日咳と併発する症状・病気は下記です。
- 吐き気
- たん
- チアノーゼ(唇や顔が紫色になる)
- 顔の赤面・紅潮
- 不眠
- 脱水
- 結膜の充血
- 失禁・失神
- 気管支喘息
- 中耳炎
- アトピー
予防接種前の生後6ヶ月前などの乳児、幼児がかかった場合、咳による呼吸困難、肺炎、脳症、無呼吸の発作、
チアノーゼ(唇や顔が紫色になる)、などを併発することがあるので特に注意が必要です。
無呼吸状態など上記の症状が表れるときは、百日咳の可能性が高くなってきますので早めに
医師にかかるようにしてください。
百日咳の治療
主にマクロライド系抗生物質を2週間程度投与します。これらは特にカタル期では有効です。
痙咳に対しては鎮咳去痰剤、場合により気管支拡張剤などが使われます。
全身的な水分補給が必要なこともあり、重症例では抗PT 抗体を期待してガンマグロブリン大量投与も
行われます。
また、年齢、予防接種歴に関わらず、家族や濃厚接触者にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどを
10~14日間予防投与する場合もあります。
百日咳の予防
百日咳の感染経路は接触と飛沫感染です。
飛沫感染を防ぐためには、なるべく人ごみを避けたり、マスクを着用するなど予防して下さい。
また、定期的にウガイをすることなども有効です。
接触による感染を防ぐために手洗いなどもしましょう。
また、生後約3ヶ月から12ヶ月の新生児、赤ちゃんの間には、必ず三種混合ワクチンを打つようにしましょう。