咽頭癌とは
咽頭癌とは頭頸部癌の一種です。
咽頭は、鼻の奥から食道までつながっている器官で上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つの部位に分けられます。
それぞれの部位にできる癌を上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌といいます。
それぞれの部位は機能が異なるため、癌の性質や症状も異なってきます。
上咽頭は鼻の突き当たり(鼻腔後方)にあり、扁桃腺の上部奥の咽頭扁桃辺りにあります。
中咽頭は口を大きく開けたときに奥に見える部分になります。中咽頭は食べ物を飲み込んだり、
言葉を話す際に重要な働きをしています。
下咽頭は「のどぼとけ(喉頭)」の後ろ側にあり中咽頭から送られてきた食べ物を食道に通す通り道になります。
咽頭癌の原因
咽頭癌の発生原因はタバコ、お酒、熱い食べ物、刺激の強い食べ物といわれています。
また男性に多く発生する癌で、年齢的には50歳代~60歳代に多く発生します。
咽頭の粘膜細胞が常に傷つき、細胞の遺伝子(DNA)が癌化しやすいためで、タバコやお酒、
刺激のあるものを食べる機会が多い方は遺伝子を傷つける可能性が高く、咽頭癌の発生リスクが高まります。
咽頭癌の症状
咽頭癌では上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌それぞれで症状が異なります。
- 上咽頭癌
上咽頭がん(癌)の初期はほとんど無症状ですが、がんがある程度大きくなることで現れる症状としては、
首のリンパ節の腫脹があります。
他に鼻づまり、鼻血、痰に血が混じる、難聴、耳が詰まった感じがする耳閉感などがあります。
また脳神経が圧迫を受けることで物が二重に見えるなどの視覚障害や疼痛が起こることがあります。
上咽頭がんは低分化型の扁平上皮がんが多いため他の頭頸部がんと比較すると肺や骨、肝臓などへの
遠隔転移が多く認められます。
肺に転移した場合には血痰や咳、骨に転移した場合には強い痛み、肝臓に転移した場合には
腹部や背中の腫れ、痛み、疲れやすいなどの症状が出るようになります。 - 中咽頭癌
中咽頭には扁桃をはじめとしてリンパ組織が多くあるため悪性リンパ腫が多発しますが、中咽頭癌と
悪性リンパ腫とは他の癌として区別します。中咽頭癌の初期にはのどの違和感、異物感、軽い痛みなどが
あります。
食べ物を食べるときに常に軽い痛みがあるような場合には注意が必要となります。
また、片方の扁桃腺だけが大きく腫れたり、しゃべりにくくなることで気が付く場合もあります。
首のリンパ節(頚部リンパ節)に転移しやすくこの場合にはシコリができて気が付くこともあります。
さらに中咽頭癌が進行すると耐え難い痛み、出血、口が開けにくくなる開口障害、飲み込みにくくなる
嚥下障害、呼吸困難などの症状が出るようになります。
中咽頭癌のほとんどは扁平上皮癌で、頚部リンパ節がおもな転移先になります。 - 下咽頭癌
下咽頭癌は喉頭(のどぼとけ周辺)の後ろ側に有り食道とつながっていますが、初期には自覚症状が
ほとんどなく、かなり大きくなってからのどの違和感、異物感、軽い痛み、耳の奥の痛み、声のかすれ、
呼吸困難、首のリンパ節の腫れなどの症状が現れるようになります。
初期にはほとんど自覚症状がないため、下咽頭癌が見つかったときには進行癌であることが多く、
また、下咽頭癌の発生と同時に食道に転移ではない癌が見つかることが多いのも特徴です。
下咽頭癌のほとんどは扁平上皮癌で、頚部リンパ節がおもな転移先になります。
咽頭癌の治療
咽頭癌の治療法は「外科療法(手術)」、「放射線療法」が中心となります。
また「化学療法(抗がん剤)」を使った治療もあり、癌の進み具合(病期)や癌の部位、患者さんの年齢などから
判断されます。
癌の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが
自分の価値観などを考慮し 患者さんが最終的な治療方法を決定する時代になりつつあります。