子宮頸癌

子宮頸癌とは

子宮は、女性にしかない特別な臓器のひとつです。
この子宮の入り口付近、「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」に出来る癌を、「子宮頸癌(しきゅうけいがん)」と
いいます。

子宮頸癌の原因

子宮頸癌はヒトパピローマウイルス (HPV) というウイルス感染が原因で引き起こされることがほとんどです。
HPV には100以上もの種類があり、皮膚感染型と粘膜感染型の2種類に大別されます。

子宮頸癌は粘膜感染型 HPV の中でも高リスク型 HPV と呼ばれていて、性交渉によって感染する一部の
HPV が長期間感染することによって引き起こされると言われています。
HPV は性交渉により感染するウイルスであり、性交経験のある女性では誰でも感染する可能性があります。

HPV に感染しても多くの場合は、免疫力によって HPV が体内から排除され、HPV感染の大半は2年以内に
自然消失します。
でも約10%の人が感染の長期化(持続感染化)すると言われています。

HPV が持続感染化するとその一部で子宮頸部の細胞に異常(異形成)を生じ、さらに平均で10年以上の
歳月の後、ごく一部(感染者の1%以下)が異形成から子宮頸癌に進行する癌です。

子宮頸癌の症状

初期の子宮頸癌はほとんど自覚症状がありません。
よって、子宮頸癌の症状について簡単にお話をします。

思い当たる症状があるのならば、病院に行って検査をしましょう。

  • 生理不順が頻繁に起きている。
    生理不順になってしまったり、月経が月に何回も発生している人は要注意です。
    まずは、検査をお勧め致します。
  • 下腹部に重みを感じる、もしくは痛い。
    なんとなくだるい感じがして、月経が終わった後にもかかわらず、ずっと違和感が残っている状態が続く。
  • おりものの色がおかしい、もしくは異臭を感じる。
    細菌が子宮内に入ってしまい、病気になっている可能性があります。
    子宮頸癌に関しては、不潔がかなりの大敵です。
    その後、清潔にしていても、まだ異臭やおりものの色がおかしい場合、病院にいって診断してもらうことをお勧めします。
  • 血尿・血便・頻尿が激しい。
    いつまでも上記の症状が続くのであれば、1度精密検査に行くことをお勧めします。
    まずは膀胱炎の疑いを晴らした後に、もう一度、自分の症状に何が起きているか、じっくりと考え直して医師に相談してみましょう。
  • 腰痛が始まった。
    子宮がんになると、骨盤のあたりにまで被害が浸透してきます。
    そうなると、血液がうまく流れなかったり、細胞がやられてしまい、腰痛となってしまう場合があるのです。
  • 出血してしまった。
    月経ではないのにセックスが終わった後にもかかわらず、出血をしてしまったら子宮頸がんの可能性も考えられます。
    それが続くようなら医師に相談しましょう。
    こうなるともう日常生活をまともに過ごせなくなってしまう怖い病気なのです。

子宮頸癌の治療

子宮頸癌の進行期は軽度のものから順に0期、IA1期、IA2期、IB1期、IB2期、II期、III期、IV期に分類されます。

0期(上皮内癌)は癌が粘膜層にとどまっている段階であり、異形成と同様に円錐切除術で完治可能です。
しかし、挙児希望がなければ子宮全摘術を行うこともあります。

Ia期は、程度が軽い場合は円錐切除術で子宮を残すことが可能ですが、円錐切除術で病変を取りきれない
場合は子宮全摘術を行います。

Ib期以降の進行癌の場合は子宮の他、卵巣や卵管、その周りのリンパ節などの臓器も摘出します。

国内ではIII期やIV期でも手術をおこなうことがあり、III期では動静脈を切断して靭帯の根部から摘出する
術式が、IVa期では膀胱、直腸なども摘出する術式が取られることもあります。
手術方法も進行状態や症状などで変わってきます。

  • 円錐切除術
    お腹を切らずに、膣の中にメスを入れて、子宮頸部を切り取る方法です。
    一番安心な手術方法とも言われており、頸がんの検査と治療、両方を担っています。
  • リンパ節郭清
    子宮と、子宮の周りの組織をとるのが、広汎子宮全摘出術と言われているのですが骨盤の中にあるリンパへの転移をしないように、リンパ節を取り除くのが、このリンパ節郭清といわれています。
    ただ、術後、出産や妊娠することは出来ず、さらに排尿と排便障害の可能性もあります。
  • 単純子宮全摘出術
    子宮を全て摘出します。早期の癌に最適な治療方法とも言われており、その後の更年期障害の負担も
    そこまで大きくありませんが、子宮を全て摘出しますので、妊娠や出産は出来ません。

進行してしまった癌に使用されることが多く、がんの細胞に放射線を当てることで、細胞をなくす方法もあります。
ただ、副作用ももちろんあり、吐き気のほかに、食欲がなくなったり、下痢の症状が出てしまうこともあります。

抗がん剤を使用する場合もあります。
がんの細胞分裂を抑制するのですが、白血球が減少してしまったり、副作用が諸々出てきます。

子宮頸癌の予防

予防方法については、まずは体を清潔に保つことが第一歩になります。
その理由は、がんの原因ともなる感染症を防ぐ事を意味するのです。
清潔を保つといっても体をゴシゴシと洗うのではなく、ゆっくりと、丁寧に洗うという事が一番重要です。

毎日、不規則な生活を送っていませんか??
そして、食生活で脂っこいものばかりを食べてしまっていませんか??
ドロドロの血液の状態であったり、毎日寝不足であったりすると、女性の体ではいち早く局部に負担が
くることがあるのです。

自分の体をいたわるためにも、まずは適度な運動と休養、そして、ストレスをあまり職場や家庭環境で
膨らませることなく、常にリラックスした状態を心がけましょう。

HPV は性交渉により感染するので、他の癌と比べ発症する年代が若い世代にも及び、20代で発症する
ケースもあります。
また性交渉の際、コンドームを使用することもある程度予防に繋がります。

HPV に感染してから異形成(前癌病変)を経て、子宮頸癌を発症するまで、平均十数年以上の長期間を
要しますが、異形成子宮頸癌は細胞診と HPV 検査の併用による検診でほぼ確実に発見することが可能です。
異形成は外科的治療でほぼ完治します。

癌は、早期発見、早期治療が一番です。必ず定期的に検査を行いましょう!

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院長
堅田 真司
診療内容
総合内科・小児科・胃腸内科
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